2012年9月29日土曜日

南太平洋の島国より


フィジーで9月初旬からインターン研修中のトホリです。
フィジー人からはトニーとかトリカ(フィジーではよくある名前らしい)と呼ばれています。インターン研修は、9月初旬~10月末までの2ヶ月間をフィジー共和国で行っていて、11月末~12月末までの1ヶ月間をブータン王国で行います。ブータンについてはまたインターン研修が始まったときに書く事にして、今回はフィジーについてだけ書きます。

最初の記事では、以下の2つについて書きました。

1. 自己紹介とフィジーでのインターン研修について
2. フィジーの村の生活とは? ー カバ・タブー・村人の生活について ー


1. 自己紹介とフィジーでのインターン研修について
まず、簡単に自己紹介をすると、旅とキャンプ、お酒が好きな大学院生です。
ヨーロッパは東西ほとんど制覇し、ケニア・南アフリカ・インド・タイ・アメリカなどに行きました。一人旅・インターンや卒論研究などいろんな名目で旅をしながら新しいものと人に出会うのが好きです。基本的にはそのときそのときの感覚で物事を決めていくタイプの人間です。何事も経験してみないとわからないから、やれることはやれるだけやる!というのがモットーでEasy goingな性格です。

巨大な干潟とマングローブ@フィジー
さて、僕の興味関心はというと、自然資源管理です。特に、森林や緑地の管理に興味があります。インターン研修では、発展途上国の村人やコミュニティという草の根の立場に立って、森林管理について考えてみたいと思っています。
具体的にどのようなことを考えているかというと、まずは以下のような問いに対して、できる限りの情報と知識を得ることを目標としています。
・行政や国際機関・NGO主導の森林保全のプロジェクトが村人やコミュニティにとってどのような影響があるのか?
・伝統的な知識や地域に根付いている習慣が森林資源管理に生かされているか?
・森林管理は村人やコミュニティにとってどのような価値をもつのか?

(↑どうしてこんなことに興味があるのかは割愛します!詳しくはまたの機会に!w)

僕がインターン研修で来ているのはフィジー共和国。地図上ではニュージーランドの上あたりの島国で、面積は日本の四国よりも少し大きいくらいです。フィジーでは、南太平洋大学(University of the South Pacific)を拠点として、村の訪問とConservation Internationalという国際NGOでインターン研修をしています。ビチレブ島というフィジーで一番大きな島にいることがほとんどです。

どうしてフィジーか?
フィジーをインターン研修先に選んだ理由は2つあり、一つ目は、フィジーでは近代化が進んでいる一方で自給自足に近い村社会が根強く残っていて、地域コミュニティの影響力がまだ強く残っていてるのがおもしろいと思ったからです。日本では高齢化や若者の都市への流出によって農山村地域が衰退していると言われていますが、できればこうした日本の状況と比較することや何かしらインターン研修でヒントとなることがあればよいなぁと思ってます。二つ目は、フィジーは自分がまだ行ったことがない国だからです。南太平洋諸国という地域もこれまでに自分が行ったことのあるアメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・東南アジアとはまた違った風土や文化があるはずなので、大いに期待してます!

どうして南太平洋大学か?どうしてConservation Internationalか?
フィジーでは村の調査に行く事が多く、一つの機関に属して働くよりも、時間があるときは研究者に話を聞きに行ったり図書館で文献を調べたりと自由度が高い大学を研修先にした方がよいということで、南太平洋大学に決めました。ただ、その中でもConservation Internationalが行っているコミュニティや企業(Fiji Waterという、フィジーを水源としたミネラルウォーターを売っているアメリカの会社)を巻き込んだ森林保全のプロジェクトがおもしろそうだったので、そこでは一ヶ月ほど働く事にしました。

とまぁそれらしいことを書いてみましたが、フィジー人は良く言えばおおらかで細かい事を気にしない、悪く言えば時間や物事にルーズ。そんな雰囲気に身を任せて楽しみながら毎日過ごしています。


2. フィジーの村の生活とは? ー カバ・タブー・村人の生活について ー
ここからは、これまで自分が見てきたフィジーの村社会について簡単に紹介します。

フィジーの村の生活は自給自足!?
「都市ではお金を出して食べ物を得なくてはいけないが、ここ(村)では何でもただで採ってくればいい」
これは、離島のコロ島にあるナンブナ村の人たちがよく口にしていた言葉で、村人はほぼ自給自足に近い生活をしています。喉が渇いたらココナッツを割って中のジュースを飲み、小腹がすいたらマンゴーやパパイヤをもぎとって食べる。主食はタロイモ・ヤムイモ・キャッサバで森の中に畑があってそこで育てています。畑に行く途中でも、フルーツがあればてきとうに採ってくれて食べさせてくれました。
森でもぎとり切ると中身は・・・
パパイヤ!!!
首都のスバに行くと、フルーツは当然お金を払わないと食べられないのですが、コロ島は本当に自然が豊かでお金は日常的には殆どいらない。マンゴーやココナッツが採り放題とか日本では考えられない・・・まさに楽園!(もちろんそれだけではない厳しい面もあるのですが・・・それはまたの機会に紹介できたらします)
村での食事。ヤムイモ、豚、カボチャのカレー、カニ・・・すべて村でとれるもの。

フィジー人の”お酒” カバ
カバ(Kava、現地語ではグロッグ(Grog))というのはフィジーの伝統的な飲み物で、ヤンゴナ(Yaqona)という植物の根っこを乾燥させて粉状に粉砕したものを水に混ぜて飲みます。見た目は泥水。味は土臭い水。これを村人はガバガバ飲みます。でも、ただ飲むだけではなく、一応しきたりがあり、まずは年長者から一杯ずつまわして飲んでいきます。飲む際にはココナッツの殻から作ったお椀に注いで飲むのが正式な飲み方です。
泥水のようなものがカバ。ココナッツの殻をコップとして使う。
ヤンゴナの根っこ。コレを干して粉にして飲む。
カバはお酒のようにハイテンションになることはなく、逆にリラックスできて脱力していくような感覚を味わえるようです。飲んだ実感としては、のどに何とも言えない違和感がで始めて、たくさん飲むとぼんやりと酔ったような感覚になります。ちなみに、High-tideとLow-tideと呼ばれる注ぎ方があり、High-tideはお椀になみなみ一杯、Low-tideはお椀に少なめの一杯。でも結局、村人からはHigh-tideを強制されることがほとんどで、フィジーにもアルハラ的なものはあるんですね。ちなみにカバを15杯くらい飲むと、翌日は何にもしたくなくなるくらいぼーっとしてだらけます。村人と仲良くなるならカバ飲み会は必須で、ライブ音楽あり踊りありのカバ飲み会は(カバの味を除けば)かなり楽しいです!

タンブーについて
フィジー語では「Tabu」、英語で言うと「タブー」。つまり、何かを禁止することです。タンブー(Tabu)とは、村人が亡くなったときにその親族が亡くなった方を思い出し弔うために、3ヶ月の間(=100夜)何かしらの行為を禁止することを指します。例えば、僕は実際に「おばが亡くなったので3ヶ月間ヒゲをそらないんだ」という男性に出会いました。一村人の場合は個人的な禁止行為で留まることが多いようですが、村の村長(チーフ)が亡くなった場合などは、より広範囲に何かを禁止するようです。
タンブーのためヒゲをそらないという男性の1ヶ月目のヒゲ。
このタンブーという習慣では、マングローブ林のまわりの立ち入りを禁止したり、珊瑚礁での漁業を禁止したりということも行われています。実は、この3ヶ月間という期間で漁業を休むことで、魚の繁殖を促進するという意味もあります。しかも村人たちはそういった意味を自覚している、というところがこのタンブーのおもしろさだと思いました。つまり、これは伝統的な資源管理の方法の一つといえるのではないでしょうか?
漁からかえってきた村人

フィジーの村人について
おそらくフィジー人は僕の人生史上最もオープンな人種です。首都のスバでさえも街行く人から笑顔で「ブラ!(挨拶)」と挨拶されるほどで、村人はもうほんとにめっちゃくちゃフレンドリーです。村をぶらぶら歩いていると、「こっちにこい!」といって必ず自分の脇に座るように指示されるし、なんでもかんでも話を聞きたがるのがフィジー人。
おちゃめな村人、僕の一番好きなおじいちゃん。
コロ島の村の部族のチーフに「この10年間で村の生活は変わった?」と聞いてみると、
「今までの村人は今日のために生活してきたが、今の村人は明日のために生活をしている」という言葉が返ってきました。今の村人の大きな関心事の一つは、自分の子供に投資すること、だそうです。その村人いわく「自分の子供には自分よりも良い教育、良い人生を送ってもらいたい。大学にもいかせてあげたい。そのためにお金を貯めるんだ。だから農業も自給のためだけでなく、現金収入を得ることをもっと考えていかなければいけない。タロやキャッサバだけでなく、スイカやもっとお金になるものを植える必要がある。」
たしかに、村でいろいろな人に話を聞いていると、大学に行っていたがお金がなくなってしばらく休学して村に戻ってきた、という人も何人かいるみたいです。教育費などのためにいかに現金収入を得るかということは、フィジーの村にとって一つ重要な課題なのかもしれません。
オウムと村の子供。ほんとかわいいー

今日はここまで。次回はもっと研究テーマに関した内容を書けたらと思います!

モアデー!(フィジー語でGood bye!)

3 件のコメント:

  1. ちょ!!!マングローブ!!しかも私が好きなRhizophora stylosa!!!その木一本掘り上げて根っこ超調べたい!お金と人手がかかってなかなかできないけど><

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  2. ミクロネシアにも同じような飲み物があって“シャカウ”と呼んでました。根っこを絞った汁を器に入れて目を閉じてみんなで回して飲む習慣があります。

    現金収入を増やすことと自然保全は相反する行為となることが多いから、村人やトップの人間、フィジーに参入している企業がどのような意識をもっているか、どういう方向性で発展していくのがよいか、気になります。

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  3. コメントありがとうございます。マングローブは初めて生で見るけど、たしかにかわいいかもwこちらでは、ドンゴとよばれるBruguiera gymnorrhizaの方をよくみかけます。ちなみに、マングローブ伐採は禁止されているけど、実際には法は守られていないし、破ったとしても政府も監視できていないみたい。

    カヴァはまじで村にとって大切ですね。文化的にも収入源としても。

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