2012年12月31日月曜日

研修を終えて。

<インターン終了報告!>

こんにちは :)
メキシコのオーガニックコーヒー農園でインターンをしていたあさみです。
今月無事日本に帰国致しました。

前回はインターン前期と日々の生活について紹介しました。
今回は3ヶ月間のインターンを振り返ってまとめを書きたいと思います.
特にコーヒー好きの方には是非読んで頂きたいです♡

私は「オーガニックコーヒーの生産と流通に関する研修」と題してインターン研修を行なっていました。


<前期1ヶ月半>
主に農園について知ったり、コーヒーチェリーが焙煎豆になるまでの工程を調べていました。


コーヒーは実は赤い実から出来てるって知ってましたか?!:)


左からパーチメントコーヒー、生豆、焙煎豆

そんなの本で調べたら分かるじゃーん、と思う人もいるかもしれません。確かに、製造方法は勉強すれば頭の中に入ります。しかし、私は「百聞は一見に如かず」だと思うのです! 農園で毎日お手伝いをしたり、観察を続けていると、決して一日では見えてこないものが見えてきます!

研修中はコーヒーの収穫から焙煎まで一連の流れや、環境に優しい生産方法である「シェードグロウン」について、農園の経営方法など、あらゆる方面から生産について情報を得ました。

コーヒー豆が袋詰めされています!


<後期一ヶ月半>
後半は自分なりにステップアップをはかり、「流通(コーヒーの輸出)」について知る!ことを目標としていました。コーヒーの生産が川下とすれば、川中の部分に当たります。
あと、せっかくのインターン研修なので、スペイン語でビジネスを経験するために農園だけじゃなくてオフィスでも働く!という野望も叶えたいと思っていました。

インターン先は1時間程離れた街にオフィスを持っており、そこでコーヒーやトロピカルフラワーの輸出業務を行なっていました。

私の机です:)
初めはスペイン語が全く出来なかったのでオフィスで働くのは到底無理でしたが、スペイン語がだんだんと使えるようになってきて、なんとか交渉して最後の約一ヶ月間オフィスで働かせてもらえる事になりました☆

具体的な業務内容は割愛しますが、主に日本への営業をしていました。

オフィスで学んだ事は、「輸出のムズカシさ」です。
知識もない私は、正直輸出なんてお金さえ払えば簡単に出来るんだって思ってました。
しかし、コーヒー豆さんが日本に届くまでは想像以上に様々な行程があったのです@_@

輸入食品届け出、植物検疫や残留農薬検査、お金のやり取りetc.
また、これらの行程を全て通るには様々な中間業者を介さないと出来ない事も分かりました。
知識不足&時間が限られていた事もあって、日本への営業が中途半端に終わってしまったのが悔しかった〜。いつかインターン先のコーヒーの輸入を実現したい。そんな夢を抱きながら帰国しました。

<理想の取引???「直接取引」の難しさ。>

色んな手続きを経て、様々な業者を介して日本に渡ってくるコーヒー豆さん達。

それぞれの立場(生産者・輸入業者)にとってなにが「良い」かは異なると思いますが、今回は現地で得た情報を基に、生産者の「理想の取引=直接取引」について少しお話しさせて頂きたいと思います。
(※これはあくまでコーヒー取引の一部分であり、ここで述べる事が全てではない事をご承知置きください。)

ある日農園のJさんにいつか日本にコーヒーを輸入したいと話していると、
「将来、あさみとコーヒーを[直接取引]したい」といわれました。
「どうしてですか?」と尋ねると、
Jさんは「中間業者が僕たちの利益を吸い上げるから彼ら抜きで直接取引するのが一番良いんだ。」と言いました。

生産者側の人達は、よっぽど大きい農園でない限り輸出のノウハウを持っていません。多くの農園は山奥にあり、外部の、ましてや外国の情報を得る事も簡単ではありません。そのような状況の中で、彼らは一方的にやってくる中間業者、つまりは情報を持つ外部の人間に頼る事しか出来ないのです。そして彼らは自分の作っているコーヒーが適正な価格で取引されていないと分かりながらも、コーヒーを彼らに売るしか無いのです。

この状況を話してくれたJさんは、とても不満そうに見えました。
私はなんとかできないか、解決方法を見つけたい、と強く思いました。

しかし、直接取引はそう簡単に実現する事が出来ません。なぜなら、現状では買い手側(日本のコーヒー豆屋さん)にも情報がないからです。コーヒー屋さんでは色んな国の豆を扱っている事が多いですが、取引先の農園を自ら見つけ出し、継続的に直接取引をすることはお金もかかるし、相当難しいことだと思います。

ということで、結局はそのような難しくて面倒くさい行程を請け負ってくれる「中間業者」が必要になるということです。
誰と取引するか選択肢の無い生産者側から見ると、中間業者が悪の存在になることは否めないでしょう。
しかし、彼ら無しには生産者は輸出出来ないし、輸入の方法がわからないコーヒー豆屋さんにとっても、豆をちゃんと日本に届けてくれる中間業者はなくてはならない存在なのです。

ある日本のコーヒー屋さんにこのことを話すと、中間業者は「必要悪」であるという表現をされました。

私はコーヒーのみならず、今日本が輸入しているものを持続可能な形で取引し続けるためは、生産者、買い手、消費者、すべての人がハッピーになる方法を追求するべきだと思います。実際、これに関してはフェアトレード等の認証団体で取り組みが進められていますが、現地での様子を聞いていると、まだまだのようです。

ハッピーなんて簡単な言葉でまとめるのも無責任ですが、私は今後もっと貿易etc.について勉強して、それが実現できるような方法を追求していきたいと思いました。

finca Irlanda 日本の某社と20年の取引があるとか。

最後に、研修で<大切にしていた事>について少しだけ。

それは、現地で働き、且つ自分の必要とする情報を得るための人間関係の構築です。
突然外国からやってきた人が拙いスペイン語で情報を得ようとしても、相手は上辺の情報しか教えてくれません。自分が本当に欲しい情報を得るためには、根気よくトライし続ける必要があります。短期間で達成出来る事ではありませんが、相手に対して常に敬意を払い、出来ないなりにもインターン生として貢献出来る最大のことをする。そんな積み重ねで信頼を得る事は大切だと思いました。

ちなみに、「欲しい情報」とは何かというと、例えば、賃金の話なんかです。
初対面の人に「あなたの月給はいくらですか」なんて聞けませんよね。^^;

もちろん人の賃金を聞き出すだめに仲良くなるなんて戦略的な友人関係を作るつもりはまったくありませんでしたが(^^;)、職場で信頼関係が築けると、このような情報もシェアしてくれるようになり、現地の文化・生活・経済状況等について更に理解が深まりました。

これは、きっと外国でインターンや調査をする時に大事なことなんだろうなあ、と思ったので、ここに一応記しておきたいと思います。



今回のインターンシップではオーナー、毎日時間を共にしたスタッフを初め、沢山の素晴らしい出会いがありました。これは一生の財産です!!!

お誕生日の時に頂いたケーキ♡

お世話になった方々には本当に心から感謝します。今回の経験をただの「研修」で終わらせるのではなく、自分の研究や将来のキャリアにつなげていければと思います。 :)

極寒冬の日本でヒーターにくっつきながら、一年中蒸し暑いコーヒーの森に思いを馳せる年の暮れでございます。笑
読んで下さった方、、、どうもありがとうございましたm(_ _)m
ではみなさん、良いお年を♡

2012年12月18日火曜日

インドは、無数の過疎と過密が集まった国!

みなさん、お久しぶりです。 インドから無事に帰って参りました、ムーです。

インドで経験したこと、帰国して思ったことなどのまとめをしておきたいと思います。

今しばらく、お付き合い下さいませ。



フィールドワークで、広大な土地を持つ農家さんを訪れた時の話。
ここでは、主にコットンの栽培をしているとの事。
この時は、ちょうど栄養の豊富な農地を維持する為に必要な、表面の土とその下の土を入れ替える作業を大きな重機を使って行っていた。




インタビューの途中で、ティータイムとなり、近くを歩いていた羊飼いのおじさんにチャイを作ってもらうことになったのだが、周りに何もない広大な畑のど真ん中にいてどうやって作るのか疑問だった。


話によると、彼は長年の修業により、火を操る事(手から火を出せるというのは迷信)が出来るようになったという。
そして実際、近くに落ちていた小枝と持っていたマッチを使って器用に火を起こし、みごとに僕らをうならせるおいしいチャイを作って見せたのだ。
これが真の生きる力だと思った。
あれがないとできないこれがないとだめと言っている自分が情けない。


午後からは、伝統的な縫物をしている女性のグループを訪ねお話を伺った。本当に見事な仕事で、1つ買って帰ろうと思ったのだが、値段を聞いてあきらめざるをえなかった。女性用のサリー、なんとその価格、4万円なり~。無理!







大学の研究グループに同行している都合上、地域の小学校を訪問する機会が多い。
もう既に10校近く回ったと思う。
どこも規模はそれほど大きくない。






小学校では、政府から給食が提供されるとの事。
お昼の時間になると全ての生徒が学校から飛び出し、一目散に帰宅する。
そして、各々が自分の食器を持って、また学校に戻ってくるのだ。
なんとも不思議な光景だった。






また、食事風景もブートキャンプかと思うようなものであった。






研究者の人々と話をしていて気になったことがある。
謙虚さとはなんだろうか。
私は、社会科学という研究の性質上、農家さん、漁師さん、酪農家さんからの聞き取りが多い。(現地の天気に関する言い伝えを集める為)
彼らは、その地で長きにわたり生活している為、広い世界の事は知らなくとも、その地域の事はとてもよく知っている。
なのに、大学の研究者(みな修士以上の学位を持つ)は、村の人々は高い教育を受けた訳でもないのだから彼らの話はあまりあてにならないと言ったりする。
そして、無論、大学の人間は私の事を知る訳もなく、気象の基礎知識を私にレクチャーする始末だ。
既存の理論から外れる事を全て間違えと見なしていては、新たな発見はありえない。
理論から外れているからこそ、時間をかけて考察する意味があるのだ。日本人は、控えめであるが故、軽く見られる事もしばしば。
しかし、この謙虚さこそが世界から日本が一目置かれる所以でもある。
正岡子規の「実る程、頭を垂れる稲穂かな」という素晴らしい俳句があるではないか。
人に対して謙虚でない人間が、学問や自然に対して謙虚であり続けられるわけがない。


田舎町にいると、町がどんどん発展していく様子が見て取れて、とても面白い。
この道路は、ほんの3週間前まで砂利道だった。
ところがどっこい。
見よ!この変わり様。
きれいに整備されてる。
ものすごいスピードで身の回りの物が変化していくという体験は、今日の日本ではなかなかできない。
まあ、戦後の経済成長時の日本はこんな感じだったんだろうが。
しかし、忘れてはならない事は、一度変わってしまったものはニ度と元の状態には戻らないという事だ。
これは自然も同じ。
だからこそ保護する必要があるのだ。
そして、人々の生活スタイルもまたこれに合わせて変化するのであるが、その土地固有の文化はいつまでも受け継がれていって欲しいと心から願っている。
環境と文化、どちらもとても大切なもので、保護が叫ばれているにも関わらず、経済発展の為に蔑(ないがしろ)にされている。
その代償の大きさは計り知れない・・・。
明日やろうとか次でいいやと思っていても、もう二度とそのチャンスに巡り合えないという事だってたくさんある。
今日からその事を肝に銘じ、普段の生活を見直すいい機会にしたいと思う。






大学周辺でよく見かける広告は、ILTES(主にアメリカ以外の英語圏の国に留学する際に必要とされるもの。)のスクールのもの。
日本だと、留学用にはTOEFLが人気だが、ここインドでは、やはり地理的にも、イギリスに統治されていた歴史を考えても、英国留学を目指す学生が多いのは納得できる。







あと、気になったのは、これ。
電気屋さんの写真なのだが、われらがSONYと宿敵SAMSUNG(韓国)の看板が並んで設置してある光景。
同じところから枝分かれしたのに、いつのまにか木そのものより枝の方が大きくなってしまいそうな勢い。
おいおい、大丈夫かSONY





皆さんにはお分かり頂けるだろうか?茂みの奥に怪しく浮かぶあの物体の正体が。
まさか、このインドで、人生初となるあれを目撃する事になるとは・・・。
あれは、もしや、UFO・・・!?
さっそく現地住民に聞き取りを開始。




僕:「あの、あれってもしや、UFOですか?」「よく出現するのですか?」
住民:「ああっ、あれな。街中のいたるところにあるよ!」
僕:「え、マジ?・・・」「ん?・・・あるよ!って」「何が?」
住民:「貯水槽!」
僕:「ゥアォ!」
こうして僕は、今日もまた、未知との遭遇を果たしたのであった。




タイ、マレーシア、インドネシア、・・・東南アジアを代表する国々の道路に共通して設置されている凸を知っているだろうか?
左の写真のようなものだが。
この使い方が、僕が思う唯一正しいもので、その他の物は、邪魔なだけ。
そもそも、車両を減速させる為の策として講じられたのだが、本当に必要だろうか?
こんなものがなくとも、ドライバーは、その場の状況を見て、適切な判断が出来ないと困る。

そして、この写真。
ここでは、よっぽど大きな交差点でない限り、信号はない。
よって、車の流れが切れた時に、走って渡らないと、マジでひかれる。
この標識は、まさに、真実を描写しているのだ!







最後に

海外に1ヶ月とかそれ以上滞在する場合に持って行った方が良いものを紹介しよう。
まず、カミソリ。
これは、衛生上、現地調達が難しい為だ。
次に、耳かき、めん棒。空気があまりきれいでない為、耳がかゆくなる。
また、めん棒は、ちょっとした掃除をする時にもあると便利だ。
そして、ピンセットと爪切り。
日本製のものは質が高いと言われていて、海外でも人気だ。
あと、トイレットペーパーも忘れてはならない必需品。
これだけあれば、まず大丈夫!洋服や他の日用品は、海外でも調達可能だ。
荷物は軽くコンパクトに!これが出来れば、あなたも世界中を旅するバックパッカーの仲間入り。


この勢いで書くと、また長くなってしまうので、今回はこのへんで。
次回、またアップします。

それでは。また・・・。
読んで頂き、ありがとうございました。

2012年12月16日日曜日

日本人とフィジー人はどちらが「強い」のか? - 米vsタロ・ヤム・キャッサバ -



フィジーに来るまで、南国のリゾートだということ意外は正直「フィジー」について全く知りませんでした。

一言で言えば、ラグビーが大好きな陽気な人々が住む'人種のるつぼ'です。'人種のるつぼ'という訳は、先住民族系・インド系・中国系・最近は韓国系などが入り交じっているからです。フィジーの国技は「ラグビー」。つい先週末には、IRBセブンスワールドシリーズという7人制ラグビーの国際大会が開幕し、第一ラウンドのオーストラリアでの大会をフィジーが制しました。このワールドシリーズは、半年かけて世界9カ国を周り、東京でもそのうちの一つが行われます。
フィジーの7人制ラグビーチーム
ラグビーが国技で、村では毎日のように若者達がラグビーを練習しているフィジー。先住民系のフィジー人の体格は、まさにラグビー選手です。つまりデカくてゴツい。

そんなフィジー人によく、「Japanese people are strong, eh?」(フィジーの英語は”~だろ?”みたいな勢いで語尾によく"~eh?"とつけることが多い)と言われます。

イヤイヤどこをどうみてもフィジー人の方が強いだろ!と思う。

よく話を聞くと、それは日本人は稲作をできる強いタフな民族だ、という意味のようです。
ご存知の通り、日本の食文化の中心である米。稲作は春に苗を田んぼに植えてから秋に収穫するというサイクルで行われる農業ですが、フィジーの食文化の中心はタロとヤム。それにキャッサバが加わる。ヤムは季節物ですが、キャッサバとタロは一年中毎日植えることができるです。収穫までには6~8ヶ月かかりますが、基本的には収穫と植え付けを同時に行うことができます。つまり、キャッサバを収穫するために掘り出した跡、キャッサバの木の幹を地面に植える。これで収穫と植え付け完了。なんと簡単なことか。肥料は必要なし、特に手入れも必要なし。ただ毎日コレを繰り返せばいいだけ。フィジー人にとっては米の栽培は手間もかかるししんどいみたいです。そんな手間のかかる米作りを昔から行っている日本人をフィジー人が「タフで強い」と言ったみたいです。
タロイモ畑。どこからどこまでが畑かわからないほど境界ははっきりしていない。むしろ、そんな環境でも育つのがタロイモです。

さてそんなフィジー人に「米を食っても力が出ない」と言われました。パンより米を食べた方が力が出る、というのが日本人の意見だと思うのですが、フィジー人曰く「タロやキャッサバの方が米より力が出る」みたいです。

単なる主食の違いといえばそれまでですが、「主食が何か」というのはかなり重要なことだと思います。それは「主食」というのが人々の生活の中心となっていて、食文化をつくるからです。

地域文化(特に食文化)を理解することは資源管理にとってかなり重要だと思います。

かつて外国からの開発援助によって米づくりがフィジーのある地域で奨励されたそうです。農業機械や米がその地域に持ち込まれ、米作りのための整備も行なわれ、プロジェクト期間3年間はその地域では米作りが行なわれていました。しかし、プロジェクトが終了すると、村人達は米をつくることをやめてしまい、以前のタロイモづくりに戻ってしまったようです。なぜならば、フィジーの農村には米作りの文化がないからです。たしかに、都市部や農村部で米は食べられているけれど、それは文化として根付いてはいない。文化として根付いている主食はあくまでタロイモやキャッサバなので、労力を使って米を作ることはその村人たちにはできなかったみたいです。

地域に根ざした、コミュニティーベースのプロジェクトをするときには、当然地域文化の理解は不可欠なはずなのに、現実はそうでもないのかも?と、開発援助のあり方を考えさせられた話でした。

次回は、フィジーのインターンシップのまとめを書こうと思います!